われ好きで われする旅の 寒さかな

たまに言われる。
「良いですね、好きなことが仕事になって」
作家は好きなことを仕事にしている人だと思われるらしい。

「良いなぁ、才能があって。私にも才能があったら、楽しく儲けられるのに」
作家は才能で仕事をしている人だと思われるらしい。

そんなとき、僕は小林一茶(1763~1828年))の俳句を思い出す。

「われ好きで われする旅の 寒さかな」

俳諧の人として生きる一茶は全国の分限者、つまり金持ちが催す句会を巡る旅を続けた。
分限者は趣味として、いわば楽しみとして自分が催した句会で俳句を詠む。
一茶は生きるために、自分の限りを尽くして招かれた句会で俳句を詠む。

そしてまた次の土地に旅へと出るのだ。

「われ好きで われする旅の 寒さかな」
この俳諧の旅は、自分から好きで選んだ生き方だ。それにしても……寒いなぁ。

ここにはまだ出版されていない、僕の小説作品を掲載する。

読んでいただくことに、何の制約もない。
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